犬や猫を見送ったあと、遺骨を目の前にして手が止まってしまうことがあります。
霊園に納めるのか、家に置いておくのか。置くとしたら、何を用意すればいいのか。誰も教えてくれないまま、骨壷だけが部屋にある状態が続く。
先に結論から言うと、犬猫の遺骨は自宅に置いたままで大丈夫です。 これは「手元供養」と呼ばれる形で、いま珍しいものではありません。犬や猫は墓地埋葬法の対象外なので、霊園に納めなければいけないという決まりもないんです。
そして自宅で供養すると決めたあと、選ぶものは3つだけです。
- 骨壷
- 位牌などの仏具
- 置き場所
この3つさえ決まれば形になります。
この記事では、その3つの選び方を順番に整理していきます。
- 骨壷のサイズをどう決めるか
- 湿気とカビをどう防ぐか
- 置き場所で何に気をつけるか
柴犬のマルを見送ったあと、ぼく自身が迷って決めきれなかったことも一緒に書いていきますね。
すけ北海道でダックスのくうと保護猫のロト・トロと暮らす介です
今年の2月に柴犬のマルを見送って、いまも骨壷を棚の上に置いています



うちも骨壷がずっと棚に置きっぱなしで……
これでいいのか分からなくて
読み終わるころには、今日から何をすればいいかがはっきりしているはずです。焦って決めなくて大丈夫ですよ。


犬猫の供養は「自宅に置く」を選んでいい
犬猫の遺骨を自宅に置き続けることに、法律上の問題はありません。人のお墓を規制している墓地埋葬法は、対象が「死体または焼骨」=人間の遺体と遺骨です。犬や猫はこの法律の対象外なので、自宅に安置しても違反にはならないんですね。
宗教上の決まりもなく、「四十九日までに納骨する」「一周忌でお寺に納める」といった作法は、あくまで人のお葬式の慣習です。犬猫にそのまま当てはめる必要はないので、期限に追われなくて大丈夫です。
手元供養は、いま選ぶ人が増えている形
自宅で遺骨を持ち続けることを手元供養と言います。もともとは人の供養で広まった考え方で、いまはペット用の骨壷や仏具も普通に手に入ります。
「自宅に置いておくのは可哀想」と言われることがありますが、そんなことはありません。 毎日目に入る場所にあって、思い出したときに手を合わせられる。これは霊園に納めた場合にはできないことです。



逆に、霊園に納めたあとで「近くに置いておけばよかった」と後悔する人もいます。どちらが正しいという話ではないんですよね
決めるのは骨壷・仏具・置き場所の3つだけ
自宅で供養すると決めたら、次に決めるのはこの3つです。
- 骨壷
遺骨を入れる本体。サイズと湿気対策で選ぶ - 仏具
位牌・写真立て・おりんなど。手を合わせるための道具 - 置き場所
家のどこに、どう置くか
順番も、この通りで大丈夫です。骨壷が決まらないと置き場所も決まらないので、まず骨壷から見ていきますね。
犬猫の骨壷の選び方|サイズ・密閉・素材の3点
骨壷選びで失敗しやすいのは、サイズと湿気の2つです。デザインから選んでしまうと、この2つで後からつまずきます。
サイズは「頭蓋骨が入るか」で決まる
骨壷のサイズは寸(すん)で表します。目安は次の通りです。
| 骨壷のサイズ | 対象 | 体重の目安 |
| 3寸 | 小鳥・ハムスター・子猫 | 〜2kg |
| 4寸 | 猫・ミニチュアダックス・チワワなどの小型犬 | 3〜5kg |
| 5寸 | 柴犬・コーギーなどの中型犬 | 6〜15kg |
| 6〜7寸 | ゴールデンレトリバー・シェパードなどの大型犬 | 16kg〜 |
体重はあくまで目安で、実際に見るのは頭蓋骨が入るかどうかです。 骨は砕かずに納めることが多く、いちばんかさばるのが頭蓋骨だからです。同じ体重でも骨格がしっかりした子は、ひとつ上のサイズが必要になることがあります。
迷ったときは、火葬をお願いする業者さんに聞くのがいちばん確実です。多くの場合、火葬のあとにその場でサイズを見てくれます。



小さめを選んで入らなかったら、どうなるんですか?



入りきらない分を別に分けることになります。分骨するつもりがないなら、迷ったら大きい方を選んでおくと安心ですよ
密閉しすぎない。カビの原因は湿気より結露
手元供養でいちばん多いトラブルがカビです。ここは知らないと確実にやってしまう部分なので、少し詳しく書きます。
火葬したばかりの遺骨は乾いていますが、骨は湿気を吸います。吸ったまま外に出せない状態が続くと、内側にカビが出ます。
ここで多くの人がやってしまうのが「完全に密閉すればいい」という対処です。ところが完全密閉は、内部で結露を起こしてかえってカビを呼びます。 密閉した容器のなかで温度差が生まれると、水滴になって骨に戻ってくるんです。
やることは3つだけです。
- 蓋のふちにテープを一周巻いて、湿気の出入りを緩やかにする(完全密閉はしない)
- シリカゲルなどの乾燥剤を少量入れる
- 乾燥剤を年1回ほど交換する
これだけで、ほとんど防げます。神経質にならなくて大丈夫ですよ。



乾燥剤の交換は、命日に合わせておくと忘れないです。
素材は置き場所から逆算して選ぶ
素材は主に3つです。それぞれ得意な置き場所が違います。
- 陶器
いちばん一般的。重さがあって安定するが、落とすと割れる。棚の上や仏壇のなかに向く - 金属(真鍮・ステンレス)
割れない。密閉性が高い分、乾燥剤の管理は必要。地震が気になる家に向く - 木・樹脂
軽くて温かみがある。リビングに出しておいても圧迫感が出にくい
デザインから入っても構いませんが、先に置き場所を思い浮かべてから選ぶと、後から「ここには置けない」がなくなります。
ぼくの手元供養|柴犬マルの骨壷は自分で選んでいない
ここからは、ぼく自身の話をさせてください。
うちには柴犬のマルがいました。もともと野良犬だったので、正確な年齢は最後まで分からなかったです。おそらく15歳から18歳くらいだったと思います。今年の2月に亡くなりました。


火葬をお願いしたのは地元の業者さんで、そして骨壷は、その業者さんが用意してくれたものをそのまま使っています。 ぼくが選んだわけではありません。
高さは20cmほどの陶器で、それを入れる布のケースが30cmほど。この記事の前半でサイズ表を出しておいて言うのも何ですが、ぼく自身は寸のことも、素材のことも、あのときは一切考えていませんでした。目の前に出されたものを受け取って、それで終わりです。


いま置いているのは、写真と一緒に棚の上です。用意した仏具は写真立てだけで、位牌もおりんも仏壇もありません。



それだけでも、供養になってるんですか?



なっていると思います。毎日目が合いますし、そのたびに声もかけていますよ
後悔はしていない。ただ一つだけ考えていること
正直に言うと、ここまでのことで大きな後悔はしていません。 業者さんの骨壷をそのまま使ったことも、写真立てしか用意していないことも、間違いだったとは思っていないです。
ただ、ひとつだけ考えていることがあります。いつかマルを土に埋めるときのことです。
骨壷を土に還したあと、家には写真だけが残ります。そのときに手を合わせる先が何もないのは、やっぱり寂しい。だからお墓の形になるものは、あった方がいいと思っています。
これは後悔ではありません。まだ起きていないことなので、いまから決められる話です。ただ、同じことがいつか自分にも来ると分かっているので、先に書いておきます。
だからこの記事を読んでいる人にも、同じことを伝えたいです。全部を今日決めなくて大丈夫です。 骨壷は手元にあるものでいいですし、写真立てだけでも形になります。あとから足していけますから。



むしろ悲しいうちに大きな買い物をしない方がいいと思っています。落ち着いてから決めた方が、選んだものを長く置けますよ


マルを見送ったあとのことは、別の記事に書いています


マルの介護をしていたころの話はこちらです


位牌・仏具は「毎日手を合わせられるか」で選ぶ
骨壷が決まったら、次は仏具です。ここは選択肢が多くて迷いやすいところですが、判断の軸はひとつだけで足ります。毎日そこで手を合わせられるかどうかです。
立派なものを揃えても、置き場所が生活動線から外れていると、だんだん行かなくなります。逆に、写真立てひとつでも毎朝目に入る場所にあれば、それが供養として成立します。
最小構成は「位牌・写真立て・おりん」の3つ
ペット用の仏具は、一般的に5点セットで1〜3万円ほどが目安です。ただ、最初から全部を揃える必要はありません。
最小構成にするなら、この3つで十分です。
- 位牌
名前を残すためのもの。これがあると「その子の場所」になる - 写真立て
いちばん効くのがこれ。表情が見えると手を合わせやすくなる - おりん
音が鳴ると、手を合わせる区切りができる
あとから足していける部分なので、最初は写真立てだけでも構いません。 揃っていないことに罪悪感を持たなくて大丈夫ですよ。



仏壇まで用意しないとダメですか?



なくても大丈夫です。我が家も仏壇の形にはしていません
クリスタル位牌という選び方
最近は、木の位牌ではなくクリスタルの位牌を選ぶ人も増えています。透明なガラス素材で、写真や名前を彫り込めるタイプで、価格は2万円台が中心です。
木の位牌と比べたときの違いはこの2点です。
- 仏具に見えないので、リビングや寝室に置いても部屋から浮かない
- 写真をそのまま彫り込めるので、写真立てを別に用意しなくていい
「仏壇コーナーを作りたくない、でも何か形にしたい」という人には、これがいちばん収まりがいい選択肢です。


自宅供養はどこまでやるか|骨壷だけ〜お墓の4段
骨壷と仏具が決まったら、最後に残るのが「どこまで形にするか」です。
ここに正解はありません。ただ、判断の軸はひとつだけあります。
軸は「遺骨が手元を離れた日に、何が残るか」
遺骨は、いつか手元を離れる日が来ます。土に還すのか、霊園に納めるのか、時期はそれぞれですが、ずっと骨壷のままという人ばかりではありません。
その日に家へ帰ってきて、何が残っているか。ここで決めると迷わなくなります。
| 段階 | 用意するもの | 費用の目安 | 遺骨が離れた日に残るもの |
| ① | 骨壷だけ | 火葬費用に含まれることが多い | 何も残らない |
| ② | +写真立て | 数千円 (100均でも可能) | 写真は残る |
| ③ | +位牌 (クリスタル位牌など) | 2万円台 | 名前と「その子の場所」が残る |
| ④ | お墓の形にする | 6万円台〜 | お墓として完結した形が残る |
ぼくはいま②です。骨壷と写真立てだけで、位牌もお墓もありません。そして②のままでも供養として何も問題はありません。
ただ、いつかマルを土に還したあとのことを考えると、③か④は用意しておきたいと思っています。



③と④の違いって、大きいんですか?



置いたときに仏具に見えるか、お墓に見えるかの差ですね。どちらがいいかは、家のどこに置きたいかで変わりますよ
お墓の形にするなら、自宅に置けるものがある
④まで行くなら、霊園に建てる以外の選択肢も知っておいてください。


霊園にお墓を建てると、会いに行くのに天気と体調と時間がいります。自宅に置ける形にしておくと、手を合わせるのに外へ出なくてよくなります。
「minibo(ミニボ)」は、その名の通り手元に置けるサイズの墓石です。ペットの墓石・骨壷・位牌・仏具を扱う株式会社ファーストインダストリーズのブランドで、墓石の形をしていながら棚の上に置けます。
骨壷をそのまま置いておくのとの違いは、見た目が「お墓」として完結していることです。名前を彫っておけば、遺骨が手元を離れたあともその場所が残ります。多頭飼いだった家庭向けに、複数の子を一緒に迎えられるタイプもあります。
| 種類 | 内容 | 価格の目 |
| minibo 墓石本体(おひとり様用) | 正面彫刻・塗装込み | 67,800円 |
| minibo 墓石本体(お二人様用) | 多頭飼いの家庭向け | 97,800円 |
| クリスタル位牌 | 写真・名前の彫刻サービスあり | 22,000〜24,000円 |
| おりん・骨壷 | 単品で買い足せる | 商品による |



急いで④まで行かなくて大丈夫です。③の位牌を先に用意して、あとから足していく順番でも遅くないですよ


遺骨の置き場所で気をつけたい3つ
置き場所は、決まりよりも実務で考えて大丈夫です。気をつけるのはこの3点だけです。
直射日光と水まわりを避ける
窓際、キッチンのそば、洗面所の近くは避けたほうがいいです。日光は骨を傷めますし、水まわりは湿気が溜まってカビの原因になります。
風通しがあって、温度差が少ない場所。具体的にはリビングや寝室の棚の上あたりが、いちばん扱いやすいです。


いま一緒に暮らしている子の手が届かない高さに置く
これは見落としやすいところです。犬や猫がいる家では、飛び乗れる高さや、しっぽが当たる位置は避けてください。
うちもロトとトロが棚の上まで普通に上がるので、そこは気にしています。倒れてからでは戻せないので、置く前に一度その高さを確認しておくと安心です。



わたくしは登れる場所は登る主義です。そこは信用しない方がよろしいかと


「仏壇の形」にしなくていい
供養コーナーを作らなければいけない、ということはありません。本棚の一段でも、テレビの横でも構いません。
大事なのは形式ではなく、そこを通るたびに目が合うかどうかです。目に入る場所にあれば、自然に手を合わせるようになります。


庭に埋葬するときに知っておきたいこと
自宅供養のもうひとつの形が、庭への埋葬です。選ぶ人もいるので、注意点だけ整理しておきます。
自分の所有地であれば、庭に埋葬しても法律上の問題はありません。 ただし条件があります。
- 借家・賃貸マンションは不可
土地が自分のものではないため、退去時にトラブルになります - 公園・河川敷・山林など公共の土地は不可
不法投棄と見なされる可能性があります - 深さは1m以上
浅いと野生動物に掘り返されることがあります。 - 将来引っ越す可能性を考えておく
埋めた後に土地を離れると、連れて行けなくなります
最後の1点が、実はいちばん重く効いてきます。迷っているなら、まず手元供養にしておく方が選び直せます。 骨壷から埋葬に移すことはできますが、逆はできないんです。
骨壷ごと埋めるか、遺骨だけ埋めるか
手元供養から埋葬に移すときに、意外と迷うのがここです。
陶器や金属の骨壷は土に還りません。骨壷ごと埋めると、その形のまま土の中に残ります。 将来掘り返す可能性があるならこの方が確実ですが、自然に還したいのであれば向きません。
自然に還したい場合は、遺骨だけを土に入れるか、土に還る素材の骨袋に移し替えてから埋めます。どちらが正しいということはないので、そのあとその場所をどうしたいかで決めるのがいちばん迷いません。



ぼくもここはまだ決めていません。急いで決めることでもないので、ゆっくり考えるつもりです
犬猫の自宅供養によくある質問
まとめ|自宅でできるペット供養
自宅でのペット供養で決めることは、骨壷・仏具・置き場所の3つだけです。
- 骨壷
頭蓋骨が入るサイズを選ぶ。猫と小型犬は4寸、中型犬は5寸が目安 - カビ対策
完全密閉はしない。テープで一周+乾燥剤を年1回交換 - 仏具
位牌・写真立て・おりんの3つで十分。写真立てだけでも構わない - 置き場所
直射日光と水まわりを避け、いまいる子の手が届かない高さに - どこまで形にするか
判断の軸は「遺骨が手元を離れた日に、何が残るか」。骨壷だけ→写真立て→位牌→お墓の形、の4段階から選ぶ - 庭に埋めるなら
自分の土地であること・深さ1m以上・引っ越しの可能性を考えておく - 骨壷ごと埋めるか
陶器や金属は土に還らない。そのあとその場所をどうしたいかで決める
そして、全部を今日決めなくて大丈夫です。骨壷は手元にあるものでいいですし、位牌も置き場所も、落ち着いてから決めていけます。ぼく自身、まだ決めていないことがいくつも残っています。



大丈夫、家に置いておくことは、置き去りにすることではないですから





棚の上のあいつには、毎朝あいさつしてる。オレのやり方でな



あの棚にだけは乗らないようにしています。それくらいは、わたしたちにも分かります



本日もご挨拶は済ませています。ちゃんと見てますよ



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